アクリル絵の具で抽象画を描く方法|テーマの考え方や楽しみ方も紹介

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  • 抽象画は感覚で適当に描いているの?
  • 抽象画を描くのにデッサンなどの技術は必要ない?
  • 抽象画を鑑賞する際の見方を教えてほしい

上記のようなお悩みについてお答えします。

抽象画は一見するとなにが描かれているのかわからず、自分にも描けそうに思えますよね。

実際に絵画の技法を知らなくても、抽象的な絵を描くことは可能です。

しかし、抽象的に描かれた形や色、構図などは、画家によって論理的に構成されていたりします。

そこで今回は、アクリル絵の具で抽象画を描く方法についてわかりやすく解説します。

目次

抽象画とは

抽象画とは、簡単にいえば「形のないものを描く絵画」です。

目に見えるものを写実的に描く具象画とは異なり、画家の思想や感覚などが強く反映されます。

たとえば、スイスの画家パウル・クレーは、彼なりの論理で音楽を絵に描きました。

画家独自の世界観が表現されるため、なにが描かれているのかわかりにくく、難解に感じることもあるでしょう。

一方で、抽象画は色使いや形、構図など、見たままの印象を自由に楽しめる絵画でもあります。

また、画家の内面を反映した純粋抽象絵画からモチーフを崩して描かれたものなど、抽象表現には種類があります。

抽象画は、自分のなかの「なんかいいな」という感覚を色や形で表現できるので、初心者でも始めやすい絵画といえるでしょう。

抽象表現主義については、以下の記事にまとめています。

抽象画を描くためにテーマを考える

「横線」(1923年)
Василий Кандинский (ワシリー・カンディンスキー), Public domain, via Wikimedia Commons

上記は、抽象画の創始者のひとりとされているワシリー・カンディンスキーの作品です。

いざ抽象画を描こうとすると、このような絵はまず描けません。

なぜなら、伝統的な絵画と異なり、抽象画は描く手順やルールが存在しないからです。

モチーフを見ながら描くわけではないため、構図や描き方を自分で組み立てる必要があります。

また、絵の芸術性は画家自身に委ねられるため、「なにを描くか」が重要な絵画ともいえます。

そのため、描き始める前にテーマを決めておくことが大切です。

抽象画のテーマには、以下のような形のないものをモチーフにすると描きやすくなるでしょう。

モチーフの例
  • 感情:楽しさ・悲しさ・苦しさ・切なさ・喜び・痛み
  • 感覚:音楽・リズム・動き・風・におい・味
  • 思想:社会・哲学・政治・宗教・信念・宇宙
  • 環境:天気・季節・街・空・海・山・動物・植物

抽象画はよく子どものような絵といわれますが、子どもは「描きたいもの」を描いています。

まだ世界の認識が少なく、表現できる技術もないのでただ塗っているように見えますが、非常に現実的なものを描いているのかもしれません。

そう考えると、描かれた絵は抽象的ですが、抽象表現とはまた異なるようにも思えます。

抽象画の制作によく使われる技法

抽象画を描く際によく使われる技法について紹介します。

それぞれの技法で得られる表現が異なるので、いろいろと試してみましょう。

ドリッピング

ドリッピングは、床に置いたキャンバスに絵の具を垂らして描く技法です。

アメリカの画家ジャクソン・ポロックがこの技法を使い、アクションペインティングとも呼ばれます。

筆にアクリル絵の具を多めにつけて垂らして描きます。

絵の具が重く、あまり垂れないようであれば少し水を加えても良いでしょう。

また、垂らした絵の具を息で吹いたり、キャンバスを傾けて流したりなどの表現技法もあります。

スパッタリング

スパッタリングは、金網とブラシを使って絵の具を弾き飛ばす技法です。

アクリル絵の具を水で薄く溶き、ブラシにつけて金網越しに擦ることで絵の具を飛ばします。

また、金網に複数の色をつけて擦ることで、複雑な色合いの模様ができます。

スキージー

スキージーとは、プラスチックやゴムを挟んだ木製の道具です。

もともとシルクスクリーンで刷る際に使われる道具ですが、絵の具を引き伸ばす技法として使われます。

キャンバスなどにアクリル絵の具を塗り、スキージーで伸ばします。

一方向だけでなく上下左右に動かしたり、別の色を重ねたりしてもおもしろい表現になります。

スキージーは大きなヘラのようなものでも、同じようなマチエールをつくれます。

抽象画の描き方

ロベール・ドローネー「Le Premier Disque」(1912年~1913年)
Robert Delaunay, Public domain, via Wikimedia Commons

抽象画はどうやって描くかではなく、なにを描くかということが本質です。

頭の中にあるイメージや言葉にはできないような感覚を、色彩や線などで表現します。

現実に存在する色や形にとらわれる必要はないので、まずは自由に楽しく描きましょう。

描いていくうちに、表現したい世界観が生まれるかもしれません。

なお、抽象画としての質を高めるためには、構図を考えることも重要です。

また抽象画は自由な分、どこで完成としていいのか難しく感じることもあります。

抽象画の芸術性は画家自身が担うものなので、自分的に「これでよし」というところがきたら完成にしていいのです。

ただし抽象表現は再現性が難しいため、後から修正すると後悔することになるかもしれません。

一度完成と決めたら、なるべく手を加えずにしておくことも大切です。

抽象画を描く際のポイントと鑑賞時の楽しみ方

「即興 27」(1912年)
ワシリー・カンディンスキー, CC0, via Wikimedia Commons

抽象画は創造力がポイント

抽象画は現実的なものにする必要がないため、専門的な技術を身につけていなくても描くことはできます。

絵の具を垂らしたり、画面上で塗り重ねたりすることで生まれる偶発的な表現も抽象画の魅力です。

しかし、自分がイメージしたものを表現するためには、表現できるだけの技術や知識が必要です。

たとえば、「〇」や「直線」を描きたいけれど上手く描けないのであれば、練習が必要になります。

筆のストロークや構図、とくに色彩の組み合わせは重要です。

抽象画はなんでもありともいえますが、なんとなく描いた絵では見る者の心を動かすことは難しいでしょう

哲学性を色面で表現したマーク・ロスコの抽象画は、一見単純に見えますが多くのものを感じられる豊かさを備えています。

写実的な具象画と異なり、目に見えないものを描く抽象画は創造力がポイントです。

抽象画の楽しみ方

抽象画は、「なにが描いてあるのかわからない」と感じて良いものです。

いきなり絵に意味を求めるのではなく、気楽に見たままの印象を楽しみましょう。

眺めていると「音楽みたい」「季節を感じる」など、人それぞれの感性によって感じるものも異なります。

細かな色使いや構図などが見えてくると、描いた画家の考えや感情などが気になってきます。

関心が高まったら、画家の想いや描かれた背景などを調べてみると良いでしょう。

絵について詳しく知ることで、初めて見たときとは異なる印象が生まれ、より一層楽しめます。

まとめ

今回は、アクリル絵の具で抽象画を描く方法について紹介しました。

抽象画は決まった手法やルールがないので、誰でも自由に描くことができます。

紹介した技法を参考にして、いろいろ試しながら描いてみましょう。

また、目に見えない抽象的なものを描くには、テーマをしっかり持っていることも大切です。

抽象画を鑑賞する際は「画家はなにを考えてこの絵を描いたのか」など、想いを馳せながら見ているとより楽しめます。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。

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