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ダダイズムとは?代表的な作家や作品も紹介【5分でわかる美術用語】
- ダダイズムについて簡単に知りたい
- ダダイズムが登場した背景や歴史が知りたい
- ダダイズムの代表的な作家や作品を知りたい
上記のようなお悩みについてお答えします。
美術の分野で「ダダイズム」という用語を見聞きする場面があると思います。
芸術に対する思想のようなイメージがあるけれど詳しくはわからない、という人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ダダイズムについてわかりやすく解説します。
この記事を読むことでダダイズムの理解が深まり、より一層アートを楽しめるようになります。
ダダイズムとは
ダダイズムとは、1910年代半ば、第一次世界大戦に対する抵抗から世界中で同時多発的に発生した芸術運動です。
第一次世界戦争の大量破壊・殺戮を目前にし、虚無を根底にした思想から既成の秩序や常識を否定していきます。
端的にいうと、戦争を起こすのはなぜかと考えたときに「人間に理性があるからだ」という結論に至り、「理性を破壊しよう」としたのがダダイズムです。
始まりはスイスのチューリッヒで、「ダダ」という言葉は詩人のトリスタン・ツァラが辞書から無作為に選び、命名したといわれています。
ダダイズムは理性や作為を否定するため、これまでの芸術を根本から破壊するように「無意味な芸術」を発表し、大きな人気を博しました。
しかし、1919年にツァラが詩人・文学者のアンドレ・ブルトンに招聘されてパリに活動を移したの機に、人気に陰りが見え始めます。
1922年になるとツァラとブルトンの対立が激化し、ダダも終焉を迎えます。
ブルトンは1924年に「シュルレアリスム宣言」を発表し、ダダの思想はシュルレアリスムへと引き継がれていきました。
ダダイズムの特徴
ダダイズムの特徴は、既定の芸術だけでなく人間の理性を否定する思想性にあります。
そのため、これまでの芸術家の思想や哲学、美しさなどが反映された作品はすべてダメなものになります。
ダダイストたちは作為や意味を排除し、美術ではコラージュやフォトモンタージュなどの手法を使い、文学では細かく切った文章を無作為に並べるなどの実験的な作品を制作していきました。
ダダの思想を発展させた芸術家として、マルセル・デュシャンが挙げられます。
デュシャンは既製品の便器にサインだけした「泉」という作品を発表し、既存の概念・常識を破壊する新たなアート性を提示しました。
ダダイズムの代表的な作家や作品
ダダイズムの代表的な作家や作品を紹介します。
トリスタン・ツァラ
トリスタン・ツァラは、ダダイズムの創始者といわれるフランスの詩人です。
1916年にフォーゴ・バルやリヒャルト・ヒュルゼンベック等とともにチューリッヒ・ダダを結成し、「ダダ宣言1918」を発表します。
言語の意味や作為性を排除したパフォーマンスで、ヨーロッパの芸術家たちへ衝撃を与えました。
パリに移ってパリ・ダダを牽引しますが、アンドレ・ブルトンとの対立でダダの運動が衰退していきます。
しかし、数年後にブルトンと和解し、シュルレアリスムの活動に参加しました。
フーゴ・バル
フーゴ・バルはドイツ出身の詩人・芸術家です。
第一次世界大戦に幻滅してスイスへと移り住み、トリスタン・ツァラ等とチューリッヒ・ダダを結成します。
活動拠点となるキャバレー・ヴォルテールを設立し、チューリヒ・ダダを牽引しました。
マルセル・デュシャン
マルセル・デュシャンは、20世紀の美術に決定的な影響を与えたフランス出身の芸術家です。
ニューヨークにアトリエを構え、マン・レイ等とともにニューヨーク・ダダを牽引しました。
デュシャンは画家から出発しましたが早々に油彩を放棄し、既成品に若干手を入れただけの「レディ・メイド」を発表します。
ニューヨーク・アンデパンダン展に、男子用小便器に「R. Mutt」と署名しただけの作品「泉」を匿名で出品し、美術界に大きな論争を巻き起こしました。
30代半ば以降ほとんど作品を残していませんが、現代美術の先駆けとなる作品を手掛けています。
まとめ
今回は、ダダイズムについて紹介しました。
ダダイズムは第一次世界大戦による大量破壊に抵抗し、人間の理性の否定を目指した芸術運動です。
作為や意味を伴わないことこそが良いという芸術思想で、ヨーロッパとアメリカを中心に人気を博しました。
しかし、無意味なものは飽きられるのも早く、数年の短い活動期間で終焉を迎えます。
その後、ダダの思想はシュルレアリスムへと受け継がれていきました。
最後まで読んでいただきましてありがとうございます。
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