ナビ派とは?代表的な画家や作品も紹介【5分でわかる美術用語】

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  • ナビ派について簡単に知りたい
  • ナビ派が登場した背景が知りたい
  • ナビ派の代表的な画家を知りたい

上記のようなお悩みについてお答えします。

美術史には「~派」というのがよく登場しますが、そのなかに「ナビ派」というものがあります。

ナビといっても、絵画表現をナビゲートするといった意味ではありません。

そこで今回は、ナビ派についてわかりやすく解説します。

この記事を読むことでナビ派の理解が深まり、アートをより一層楽しめるようになります。

目次

ナビ派とは

ナビ派とは、19世紀末にパリで活動した前衛的な芸術集団です。

パリの美術学校アカデミー・ジュリアンの学生であったポール・セリュジエは、1888年に芸術家が集まるポン=タヴァン村へと訪れます。

そこで、後期(ポスト)印象派を代表する画家ポール・ゴーギャンに出会い、絵の指導を受けます。

ゴーギャンの教えは写実を重視するアカデミーの技法とはまったく異質でした。

「あの樹は何色に見えるかね」
「若干赤みがかって見えます」
「では真っ赤な赤色を置きたまえ」

目に見える現実だけでなく、画家自身の心象を反映させるゴーギャンの指導に、若きセリュジエは感銘を受けます。

パリに戻ったセリュジエは学生仲間を集め、ゴーギャンの教えを熱心に伝えます。

その教えに共鳴した彼らは、ヘブライ語で「預言者」を意味するナビを取って「ナビ派」を結成しました。

後期印象派についてはこちらの記事にまとめています。

ナビ派の特徴

ナビ派の特徴はアカデミーの写実的な表現に対して、画家の思想を反映させて色彩や筆致で表現することです。

ゴーギャンの教えを起点としているため、印象派に反発する態度が見られます。

セザンヌの抽象性やルドンの象徴主義の影響も見られます。

また、1890年にパリの国立美術学校(エコール・デ・ボザール)で、「日本の版画展」が開かれたことも大きな出来事として挙げられるでしょう。

浮世絵の平坦な画面やモチーフのデフォルメは、新しい表現に貪欲であったナビ派の画家たちに大きな影響を与えました。

ナビ派の画家たちは絵画だけでなく、彫刻、工芸、舞台、ポスターなど、広い分野で活躍しました。

ナビ派の代表的な画家や作品

ナビ派の代表的な画家や作品を紹介します。

ポール・セリュジエ

「タリスマン」(1888年)
ポール・セルシエ, Public domain, via Wikimedia Commons

ポール・セリュジエはナビ派を結成する起点となった人物です。

唯一ゴーギャンから直接指導を受けており、「タリスマン」はそのとき描いた絵です。

パリに戻って仲間たちに「タリスマン」を見せながらゴーギャンの教えを伝え、熱心に議論し、ナビ派結成へとつながります。

ピエール・ボナール

バスティーユの日のパルマ通」
ピエール・ボナール, Public domain, via Wikimedia Commons

ピエール・ボナールは、「ナビ・ジャポナール(日本かぶれのナビ)」と呼ばれるほど、日本美術に影響を受けたナビ派の画家です。

大学の法学部で弁護士資格を取得するかたわら、美術学校のアカデミー・ジュリアンにも通っていました。

1890年に開かれた日本美術展で感銘を受け、掛け軸のように縦長の画面で制作するなど、日本絵画の影響下にある作品を多く描きました。

モーリス・ドニ

「セザンヌ礼賛」(1900年)
モーリス・ドニ, Public domain, via Wikimedia Commons

ドニは、非常に早い段階で絵画の平面性に注目した画家です。

敬虔なカトリック教徒で、宗教的な題材を好み、家族や風景などの作品を多く残しています。

「セザンヌ礼拝」はセザンヌやルドンへの畏敬の念を表し、セザンヌの静物画をナビ派の画家たちが取り囲み、ルドンと向かい合っています。

また、自身の絵画理論をまとめた本を出版しており、後のキュビスムやフォーヴィスムなどにも影響を与えています。

まとめ

今回は、ナビ派について紹介しました。

ナビ派は、ポール・ゴーギャンの指導を受けたセリュジエを中心に結成された前衛的な芸術集団です。

アカデミーの伝統的な技法や写実的な印象派に対して、画家の心象を反映させているのが特徴です。

また、ジャポニスムの影響も大きく、平坦で大胆なデフォルメなどが見られます。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。

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