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写実主義とは?代表的な画家や作品も紹介【5分でわかる美術用語】
- 写実主義について簡単に知りたい
- 写実主義が登場した背景が知りたい
- 写実主義の代表的な画家を知りたい
上記のようなお悩みについてお答えします。
美術史には「~主義」という用語がよく登場しますが、そのなかに「写実主義」というものがあります。
現在でも見聞きする機会の多い写実主義ですが、詳しくはわからないという人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、写実主義についてわかりやすく解説します。
この記事を読むことで写実主義の理解が深まり、アートをより一層楽しめるようになります。
写実主義とは
写実主義とは19世紀半ばのフランスを中心に起きた芸術運動で、現実をありのままに表現しようとするものです。
当時の主流であった、個人の感情をドラマティックに描くロマン主義の反動として登場しました。
これまでの西洋絵画が主題にしていた神話や歴史、宗教などを扱わず、日常の風景を描きます。
写実主義(レアリスム)は、フランスの画家ギュスターヴ・クールベの「レアリスム宣言」が起点となりました。
パリの万博博覧会へ出展した作品が落選したことに憤り、会場の近くに世界初となる「個展」を開きます。
その目録に書かれたクールベの文章が後に「レアリスム宣言」といわれるようになりました。
また、イギリスの産業革命がヨーロッパへと波及し、資本主義による労働者の増大や都市部の人口増加で、急速な発展を遂げます。
新聞や雑誌などの登場で文化の大衆化が始まり、絵画の鑑賞者もこれまでの限られた権力者だけでなく、一般市民にまで広がりました。
写実主義の特徴
写実主義の特徴は、現実を美化せず忠実に描写することです。
これまで主題とされていた神話や歴史に登場する貴族的な人物ではなく、現実に生きる人々を描きました。
それは古典やロマン主義への反動としてだけでなく、資本主義への反発も込められています。
資本主義による発展によって社会全体が大きく変革すると同時に、資本家と労働者の格差が大きくなっていきます。
写実主義の画家たちは、貧しい労働者階級の人々に目を向け、労働者や農民を数多く描きました。
なかでもバルビゾン派(自然主義ともいわれる)と呼ばれる画家たちは、農村の自然をありのままに描き、彼らの風景画は印象派へとつながっていきます。
写実主義の代表的な画家や作品
写実主義の代表的な画家、ギュスターヴ・クールベとジャン=フランソワ・ミレーを紹介します。
とくにミレーの作品は日本のCMでも使われたこともあり、見たことがある人も多いでしょう。
ギュスターヴ・クールベ
クールベの代表作のひとつ「オルナンの埋葬」は、フランスの写実主義を代表する作品です。
故郷で行われた普通の葬儀の様子を、歴史画のように壮大に描いた本作は、大きな反響を呼び、批評家から激しく非難されました。
当時の歴史画とは英雄や宗教的な人物が描かれる格式高いものであり、普通の埋葬や市井の人々を歴史画のように描くのはあり得ないことだったのです。
批判も受けましたが、写実的な様式は人々の関心を集め、ファンタジー要素の強いロマン主義が収束していくきっかけとなりました。
クールベには「天使を見たことがないから描けない」という、写実主義を追求した画家らしい言葉が残されています。
ジャン=フランソワ・ミレー
フランスの画家フランソワ・ミレーは、バルビゾン派の創設者のひとりです。
農家の家に生まれたミレーでしたが、絵の才能を見出され画業に入ります。
コレラの流行や暴動などにより、パリからバルビソン村へと移住し、日常的な労働や農民を多く描きます。
「落穂拾い」は貧しい農民の姿を描いただけでなく、旧約聖書をテーマにしている作品です。
「レビ記」では、落穂を拾う行為は収穫を得られなかった農民の権利として認められており、畑の持ち主が落穂を残さず回収することは戒めの対象とされていました。
「落穂拾い」は農民の貧しさだけでなく、農村(=社会)での助け合いを表しているともいわれています。
ミレーが農民画を出展した展覧会では、貧困に対する政治的な議論が起こりました。
まとめ
今回は、写実主義について紹介しました。
写実主義は現実を美化せず、ありのままに描くものです。
それまでの主流であった、感情や情緒的なロマン主義の反動として登場しました。
また、社会が大きく変わった資本主義への反発も見られるのが特徴です。
その後、写実主義は「印象派(印象主義)」へとつながっていきます。
最後まで読んでいただきましてありがとうございます。
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