アウトサイダーアートとは?代表的な作家や作品も紹介【5分でわかる美術用語】

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  • アウトサイダーアートについて簡単に知りたい
  • アウトサイダーアートが登場した背景が知りたい
  • アウトサイダーアートの代表的な作家を知りたい

上記のようなお悩みについてお答えします。

美術史にはさまざまな用語が登場しますが、そのなかに「アウトサイダーアート」というものがあります。

なんとなく知っているけれど詳しくはわからない、という人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、アウトサイダーアートについてわかりやすく解説します。

この記事を読むことでアウトサイダーアートの理解が深まり、アートをより一層楽しめるようになります。

目次

アウトサイダーアートとは

アウトサイダーアートとは美術の正規教育を受けておらず、美術業界の外部で制作された作品を指します

こうしたアートに注目したのは、フランスの画家ジャン・デュビュッフェです。

デュビュッフェは精神疾患のある者や子どもが描いた絵を発見し、1945年に「アール・ブリュット(生の芸術)」と名付け、世の中に知られることとなります。

「アウトサイダーアート」という言葉は、1972年に美術評論家のロジャー・カーディナルがアール・ブリュットを英語に言い換えたものです。

その際、精神疾患のある者や子どもだけでなく、美術の技術訓練を受けずに制作された作品まで概念を広げて再定義しました。

現在では、プリミティブ・アートや民族芸術、ホームレスの作品などもアウトサイダーアートとして扱われています。

アウトサイダーアートの特徴

アウトサイダーアートの特徴は、美術の専門的な知識を持たない者が制作していることです。

もともと、人に見られることや評価を求めてつくられていないアートであり、作者の死後に発見されるケースも多くあります。

作家が精神疾患がある場合は作品という認識がなく、主題や制作に対するタブーがないため、型破りで生々しい魅力があります。

また、ゴッホは精神病院にいた経歴もあり、アウトサイダーアートに含めて語られることもあります。

日本においては障害のある者がつくるアートと認識される傾向がありますが、美術教育を受けていない主流とは異なる作品を指しています。

アウトサイダーアートの代表的な作家や作品

アウトサイダーアートの代表的な作家を紹介します。

アドルフ・ヴェルフリ

「Irren-Anstalt Band-Hain」(1910年)
Adolf Wölfli, Public domain, via Wikimedia Commons

ヴェルフリは10歳で孤児となり、何度も犯罪を犯します。

31歳のときに統合失調症と診断され、スイスのヴァルダゥ精神病院に入り、人生の大半を過ごしました。

1921年、彼の担当医であったウォルター・モーガンタラー博士は、ヴェルフリに関する論文「芸術家としての精神病患者」を出版し、美術業界に衝撃を与えました。

著者にはもともと芸術に関心はなく、精神病を発症したことによって絵画の才能を発揮させるようになった詳細が書かれています。

ヘンリー・ダーガー

出典:amazon.co.jp

ヘンリーダーガーは、アウトサイダーアートの重要なアメリカの作家です。

幼いころに母を亡くし精神病院に入院します。父の死を知った15歳のときに脱走し、教会で掃除夫の仕事を続けながら制作をし始めます。

誰に見せることもなく、延べ1万5000ページにも及ぶ「非現実の王国で」と題した小説と挿絵を約60年間にわたってつくり続けました。

死の間際、大家のネイサンに所有物の処分を聞かれたダーカーは「捨ててくれ」といいました。

しかし、ネイサンはデザイナーでもあり、残された莫大な作品群の価値を見抜き、ダーガーの部屋を4半世紀にわたって保存し、真価を問い続けました。

その結果、ダーガーの作品は今日にまで残されています。

山下清

作者不明作者不明 (パブリック ドメイン or パブリック ドメイン), via Wikimedia Commons

日本のアウトサイダーアートの作家でもっとも有名なのは山下清でしょう。

幼少期のころに軽い知的障害の後遺症を患い、養父の暴力から逃れるために母に連れられて兄弟と一緒に社会福祉施設へ転居します。

その後、知的障害施設に預けられ「ちぎり紙細工」を学び、才能が開花します。

放浪と施設での生活を繰り返し、作品を制作しました。

まとめ

今回は、アウトサイダーアートについて紹介しました。

もともとは精神疾患を患っていた者や子どもの作品を指していました。

しかし、1970年代に再定義され、美術教育を受けていない者の作品にまで広がりました。

美術業界における技術や常識に当てはまらない、自由な精神でつくられているのが魅力です。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。

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