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贋作とは?代表的な事件や作品も紹介【5分でわかる美術用語】

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  • 贋作について簡単に知りたい
  • 贋作が登場した歴史が知りたい
  • 贋作の代表的な事件や作品を知りたい

上記のようなお悩みについてお答えします。

美術の分野にかかわらず「贋作」という用語はよく使われています。

しかし、贋作がつくられる理由や背景などについて詳しく知りたいという人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、贋作についてわかりやすく解説します。

この記事を読むことで「贋作」についての理解が深まり、より一層アートを楽しめるようになります。

目次

贋作とは

贋作とは有名な画家の作品などを模倣し、作家名や制作年を偽って流通させる美術品を指します。

偽作とも呼ばれ、買い手から金銭を騙し取るために作為的に制作されるのが特徴です。

贋作に似たものに「模写」や「レプリカ」がありますが、目的が大きく異なります。

原作をもとにつくられる点は同じですが、模写は基本的に技術の向上を目指す行為です。

レプリカは複製品とも呼ばれ、一般的に製造・販売の権利を取得している者が製造します。

贋作をつくる作家は、各分野の専門家が見抜けないほどの高い技術を要しています。

そのため、贋作をひとつのアートと見なすこともあります。

贋作の歴史

贋作の歴史は非常に古く、古代エジプトまでさかのぼります。

ガラスで宝石を模造する方法が書かれた文書が残されており、ローマ時代には彫刻の贋作がつくられていました。

15世紀になると絵画や版画が誕生し、贋作の数も多くなります。

19世紀後半になるとヨーロッパに美術の市場が確立したことで、贋作の技術も飛躍的に上がります。

レオナルド・ダ・ヴィンチ、レンブラントなどの贋作が氾濫し、現在においても贋作か真作かの話題が尽きません。

なかでもゴッホの絵は模倣しやすく売りやすいため、数多くの贋作がつくられています。

有名な贋作事件や作品

こちらでは、有名な贋作事件や作品について紹介します。

フェルメール贋作事件

ハン・ファン・メーヘレン
Photographer Koos Raucamp, 著作権フリー使用, via Wikimedia Commons

天才贋作家とも呼ばれるドイツの画家ハン・ファン・メーヘレンによる、もっとも有名な贋作事件です。

画家として成功せず美術界に不満を抱いていたメーヘレンは、まだ研究の浅かったフェルメールの贋作をつくり始めます。

『エマオの食事』(1937年)
ハン・ファン・メーヘレン, Public domain, via Wikimedia Commons

フェルメールの研究家に真作と認めさせるほど精巧な贋作は、複数の美術館で買い上げとなり大金を手に入れます。

1945年、メーヘレンはナチス・ドイツの幹部にフェルメールの絵画を売った罪で逮捕されます。

自身の裁判にてナチスの協力者を否定すると、売却した一連の作品は自分がつくった贋作だと告白しました。

ところが、誰もそれを信じなかったため、記者や証人の前で新たにフェルメールの贋作を描いて見せます。

これにより、メーヘレンはドイツを騙した英雄として国民から人気を集め、大幅な減刑を受けました。

しかし、刑期を終えてすぐ、長年の飲酒と麻薬がたたり心臓発作によって58歳で亡くなります。

メーヘレンの事件は「最後のフェルメール ナチスを欺いた画家」という題名で映画にもなっています。

ヴィンセント・ファン・ゴッホ贋作事件

ドイツの画商オットー・ヴァッカーによるゴッホの贋作事件です。

ヴァッカーは画家である弟にゴッホの贋作をつくらせ、あるロシア人のコレクションであると説明して真作の鑑定書を作成させます。

ド・ラ・ファイユ
撮影者不明, パブリックドメイン, via Wikimedia Commons

ゴッホの研究家ド・ラ・ファイユによる鑑定書が付いていたことで、複数の画廊が購入します。

1928年ドイツの画廊でゴッホ展が開かれることになり、ヴァッカー画廊からも出品されましたが、贋作だと判断されました。

詳しく調査が行われると、ヴァッカー画廊が扱った計30点以上のゴッホ作品に贋作の疑惑がかかります。

ヴァッカーは販売した画廊から訴訟を起こされ、ド・ラ・ファイユは事説を撤回し贋作を認めます。

捜査が始まるとヴァッカーの弟の家から描きかけのゴッホの絵が見つかりましたが、ロシア人に依頼されて修復しているだけだと説明します。

裁判ではゴッホの甥が出廷し「ロシア人に売った記録はない」と証言した一方で、ド・ラ・ファイユは5点は真作だと意見を変えます。

しかし、科学鑑定から不信な点が多く見つかり、現在ではヴァッカーが扱っていたゴッホ作品はすべて贋作と見られています。

ちなみに、ド・ラ・ファイユが真作と認めた5点の内の1点「アルピーユの道」は、日本の大原美術館が買い上げましたが、後に贋作と指摘されました。

国立西洋美術館で起きたルグロ贋作事件

国立西洋美術館
663highland, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

フランスの画商フェルナン・ルグロによる贋作事件です。

1965年頃、東京上野の国立西洋美術館は、ルグロが持ち込んだ作品を3点購入します。

ルグロが扱う作品には専門家による鑑定書が付いており、日本に訪れていたフランスの文化大臣アンドレ・マルローが作品を褒めていたことも後押しになったとされています。

しかし、海外の画商の間では、ルグロの扱う絵画は怪しいという噂が立っていました。

ルグロは贋作家と共謀し、専門家や亡くなった画家の妻などから巧みに鑑定書を作成し、500点以上の絵画を世界各国で販売していました。

1967年にルグロが国際指名手配を受けたことで、国立西洋美術館の所蔵する作品にも贋作の疑いがかかり、国会で追及されます。

1971年、文化庁と国立西洋美術館は「真作であることは疑わしい」として、今後一切展示しないことを発表しました。

まとめ|贋作を見破るのは専門家でも難しい

今回は、贋作について紹介しました。

美術品は専門家でも騙されてしまうほど、鑑定が難しいものです。

とくに真作を保証するような鑑定書が付いていると、人は信じやすくなってしまいます。

また、海外では贋作を本物と並べて展示するなど、後世のためになることをやっています。

日本でも贋作を展示して、当時の説明など詳しく観れたらおもしろいと思いますが、いかがでしょうか。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます。

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この記事を書いた人

40代で会社を辞め、画家として活動しています。

主にアクリル絵の具を使い、独学で10年以上描いています。

年齢や経歴に関係なく「絵を描いて暮らしていきたい」という人に向けて、画家になるためのヒントや販売の仕組みなど、お役に立てる情報を発信します。

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