ラファエル前派とは?代表的な画家や作品も紹介【5分でわかる美術用語】

※当サイトは商品プロモーションを含む場合があります。

  • ラファエル前派について簡単に知りたい
  • ラファエル前派が登場した背景が知りたい
  • ラファエル前派の代表的な画家を知りたい

上記のようなお悩みについてお答えします。

美術史にはさまざまな用語が登場しますが、そのなかに「ラファエル前派」というものがあります。

聞いたことはあるけれど詳しくはわからない、という人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、ラファエル前派についてわかりやすく解説します。

この記事を読むことでラファエル前派の理解が深まり、アートをより一層楽しめるようになります。

目次

ラファエル前派とは

ラファエル前派とは、19世紀のイギリスで活動した美術家・批評家のグループです。

当時のロイヤル・アカデミー美術学校では、ルネサンスの画家「ラファエロ・サンティ」の絵画を規範とし、他の表現を認めませんでした。

1848年、アカデミーの方針に不満を抱いた3人の学生が、ラファエロ以前の美術に立ち返る意図を込めて「ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)」を結成します。

ラファエル前派を結成した3人
  • ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
  • ウィリアム・ホルマン・ハント
  • ジョン・エヴァレット・ミレイ

ちなみに、「ラファエ」ではなく「ラファエ」となったのは英語の発音によるものです。

「Pre-Raphaelite Brotherhood」を直訳すると「ラファエル以前兄弟団」となり、兄弟団には「結社」という信条が込められています。

強い結びつきを意味し、メンバーは作品に「P.R.B」とサインを入れることを共通としていました。

古典主義的な芸術様式から初期ルネッサンスへの回帰を基本に、新しい芸術様式を目指しました。

当初は批判を受けましたが、著名な美術批評家であったジョン・ラスキンの支持を得て、思想的な影響を受けます。

1853年にミレイがロイヤル・アカデミーの準会員に選出されたことをきっかけに、グループはわずか数年の活動で解散しました。

ラファエル前派の特徴

ラファエル前派には、以下のような特徴があります。

  • ラファエロ以前の初期ルネッサンスを規範としている
  • 聖書や神話、文学をテーマにしたものが多い
  • 自然を細部まで緻密に描き込む
  • 明るく鮮やかな色彩

ラファエル前派が自然を注意深く観察し、ありのままに表現することを目指していました。

その思想は、美術批評家のジョン・ラスキンの「神の創造物である自然には完全さがある」とする信仰から影響を受けています。

ラファエル前派の代表的な画家や作品

ラファエル前派を代表する画家には、やはり結成時の3人が挙げられるでしょう。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ

ベアタ・ベアトリクス (1863年頃)

聖書や文学などをテーマに、身近な女性をモデルにして作品を描きました。

ロセッティの生涯には、後に妻となるエリザベス・シダルとジェーン・バーデンの2人の女性との複雑な関係が挙げられます。

妻のエリザベス・シダルは、ロセッティとの関係や死産などを苦に、服薬自殺してしまいます。

「ベアタ・ベアトリク」はエリザベスをモデルに、贖罪の意を込めて描かれた作品といわれています。

ウィリアム・ホルマン・ハント

雇われ羊飼い(1851年頃)

ハントは、ラファエル前派の芸術様式をもっとも忠実に描き続けました。

聖書や神話などをテーマに細部まで徹底的に描き込む緻密描写で、写実主義を貫いた画家です。

ジョン・エヴァレット・ミレー

オフィーリア(1852年)

ミレーは幼少時から画才があり、11歳でロイヤル・アカデミー美術学校に史上最年少で入学します。

新しい芸術様式で描かれた「両親の家のキリスト」などは批判されましたが、ジョン・ラスキンの支持を受けます。

ハムレットをモチーフにした「オフィーリア」は、ロイヤル・アカデミー展に出品され、高い評価を得ます。なお、モデルはロセッティの妻となるエリザベス・シダルです。

その後、世間からの批判や生活面の影響もあり、ラファエル前派の理想から次第に離れていきます。

初めての説教(1863年)

1863年に「初めての説教」を発表すると、イギリスで少女画が流行しました。

まとめ

今回は、ラファエル前派について紹介しました。

ラファエル前派は、古典主義的なアカデミーの方向性に対抗する形で登場したグループです。

聖書や神話をテーマに、自然を細部まで緻密に描いているのが特徴です。

夏目漱石は「草枕」のなかで、ミレーの「オフィーリア」について触れています。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます。

  • URLをコピーしました!
目次