総合主義とは?代表的な画家や作品も紹介【5分でわかる美術用語】

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  • 総合主義について簡単に知りたい
  • 総合主義が登場した背景が知りたい
  • 総合主義の代表的な画家を知りたい

上記のようなお悩みについてお答えします。

美術史には「~主義」という用語がよく登場しますが、そのなかに「総合主義」というものがあります。

総合主義の総合とは、具体的になにが合わさったものなのでしょうか。

そこで今回は、総合主義についてわかりやすく解説します。

この記事を読むことで総合主義の理解が深まり、アートをより一層楽しめるようになります。

目次

総合主義とは

総合主義とは1880年代後半のフランスにて、印象主義の反発として現れた芸術様式です。

ブルターニュのポン=タヴァンに集まった画家、ポール・ゴーギャンやエミール・ベルナール等を中心に展開されました。

ポン=タヴァン派の画家たちは、色彩分割によって写実的に捉える印象主義に対して、思想や哲学的な内容を盛り込もうとしました。

1889年に開催されたパリ万国博覧会の一隅にあるカフェ・ヴォルピーニで、「印象主義および総合主義グループ」という展覧会を開いたのが始まりとされています。

総合主義は、現実の光景と幻想のイメージを総合した絵画表現といえます。

印象主義についてはこちらの記事でまとめています。

総合主義の特徴

総合主義の特徴は、明確な輪郭線と平坦な色面で描く「クロワゾニスム」の手法を用いているところです。

現実と幻想の複数のイメージをひとつの画面のなかに総合し、これまでになかった絵画表現を提唱しました。

こういった絵画表現を確立させたのは主にゴーギャンと説明されていますが、ベルナールは自分が最初だと主張しています。

1888年に制作されたゴーギャンの「説教の後の幻影:ヤコブと天使の争い」は、ベルナールの「草地のブルターニュの女たち」から発想を得て描かれたものだともいわれています。

「説教の後の幻影:ヤコブと天使の争い」(1888年)
Paul Gauguin, Public domain, via Wikimedia Commons
「草地のブルターニュの女たち」(1888年)
エミール・ベルナール, Public domain, via Wikimedia Commons

総合主義の代表的な画家や作品

総合主義の代表的な画家や作品を紹介します。

ポール・ゴーギャン

「黄色いキリスト」(1889年)
Paul Gauguin, Public domain, via Wikimedia Commons

ゴーギャンは、総合主義・ポスト印象派を代表するフランスの画家です。

もともと株式仲買人として働いていましたが、独学で画家となり、貧困に陥りながらも数々の傑作を残しました。

現実の風景とイメージが組み合わされた「黄色いキリスト」は、遠近法などの古典的な手法が省かれ、黒い輪郭線で画面を区切ったクロワゾニスムを用いて描かれています。

エミール・ベルナール 

「ポール・ゴーギャンの肖像を背景とした自画像」(1888年)
エミール・ベルナール, Public domain, via Wikimedia Commons

ゴーギャンと一緒に総合主義を確立させたフランスの画家です。

ベルナールはクロワゾニスムの手法を発展させ、総合主義の傑作のひとつ「草地のブルターニュの女たち」を描き上げます。

ゴーギャンとは互いの肖像を背景にした自画像を描くほど親交を深めていましたが、総合主義の先駆者を巡って言い争いとなり、関係は亀裂してしまったそうです。

シャルル・ラヴァル

「市場に行く」(1888年)
Charles Laval, Public domain, via Wikimedia Commons

1886年にポン=タヴァンでゴーギャンと出会い、一緒にパナマへと渡っています。

その後、カリブ海のマルティニーク島に向かい、明るい色彩の風景画を描きますが精神を病み、ポン=タヴァンへと戻ります。

アルルに滞在するゴッホと絵の交換するなどしていましたが、徐々に宗教的な象徴主義に傾倒し、伝統的海外へと回帰していきました。

1890年にベルナールの妹マドレーヌと婚約しましたが、結核を患い、パリにて33歳の若さで亡くなってしまいます。

まとめ

今回は、総合主義について紹介しました。

総合主義は写実的な印象主義から離れ、現実と幻想をひとつの画面のなかで構成するのが特徴です。

遠近法などの一般的であった技法を使わず、平坦な色面とはっきりとした輪郭線を用いて新しい絵画表現を目指しました。

その後、総合主義はゴーギャンに師事したナビ派へと継承されていきます。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。

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